2020/06/14 2020/06/23

噂のNotionですっきり、AIプロジェクト

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「そういえば、あの情報どこに残したっけ？」　仕事中に思いついたアイデアや、通勤途中に読んだSNSの記事、同僚から聞いたセミナー情報。どこかに残したはずなのに、肝心な時に見つからないことってよくありませんか？　毎日扱う情報量がこれだけ多いと、スマートフォンでメモったのか、写真で撮ったのか、メールで書いたのか、はたまたSNSのチャットで呟いたのか、どうしても忘れてしまいがちですよね。<br />
 <br />
　このごろ話題のNotionは、散らかった情報をまとめて管理できるアプリです。筆者もシリコンバレーの友人から勧められて最近使い始めましたが、仕事にプライベートに活用しています。この記事では、Notionの概要と魅力についてお伝えしたいと思います。<br />
 
<h1>Notionとは？</h1>
　Notionとはどんなソフトウェアなのでしょうか？Wikipedia[1]によれば、次のような説明があります。

<blockquote>
<p>Notionは、タスク、Wiki、およびデータベースを統合するマークダウンサポートを備えたメモアプリケーション及びサービス。 同社はこのアプリを、メモ作成、プロジェクト管理、タスク管理のためのオールインワンワークスペースと説明している。同社によって提供されるクロスプラットフォームアプリに加えて、ほとんどのWebブラウザーからアクセス可能である。本社はカリフォルニア州サンフランシスコに所在。</p>
</blockquote>

<div style="text-align:center;">
<p style="text-align:left;"><br />
　図1にNotionのトップページを示します。この、オールインワンワークスペース（All-in-one Workspace）という表現はちょっとわかりにくいのですが、下記のイメージでとらえるとわかりやすいと思います。<br />
 </p>

<p><strong>Notion = Trello </strong><strong>＋</strong><strong> Evernote </strong><strong>＋</strong><strong> Google Spreadsheet</strong> </p>

<p style="text-align:left;"><br />
　つまり、Notionは、プロジェクト・タスク管理、メモ作成、スプレッドシートなどの機能を全て兼ね備えた統合アプリなのです。<br />
 </p>
図1　Notionトップ画面（[2]より抜粋）</div>

<h1>人気急上昇</h1>

<p>　ここで、ツールのトレンドを見てみましょう。図2は、４つのツールについて、グローバルでの5年間のトレンドを表したものです。タスク管理として定番のTrelloが依然として高いものの、急上昇中のNotionはすでにGoogle SpreadsheetやEvernoteを追い抜いています。<br />
 </p>

<p style="text-align:center;">図2　5年間のツールのトレンド（Google Trendsから引用）<br /><img height="453" src="/p/9txd54uete84uw2emg73-eef8d842.jpg" style="width:920px;height:453px;" width="920" alt="9txd54uete84uw2emg73-eef8d842.jpg" /></p>

<h1>Notionの設計思想</h1>

<p>　Notion のCOOであるAkshayは、「なぜNotionが生まれたと思いますか？」という質問に対して、次のように語っています[3]。<br />
 </p>

<blockquote>
<p>Notionは『レゴブロック』みたいなツールだと思っています。ツールをブロックのように組み合わせ、自分たちで自由に作ってもらって、生活をよくするワークフローを作ってもらいたいという思いから創業しました。</p>
</blockquote>

<p><br />
　このようなシンプルなコンセプトが市場から受け入れられ、Notion Labs, Inc社（本社：米国サンフランシスコ）は、2016年のVersion1.0リリースからわずか4年で約400万ユーザを獲得。昨年7月に$20M、今年4月には$50Mを調達して$2B（約2,100億円）という評価額を達成し、ユニコーン企業入りしています。<br />
 <br />
 </p>

<h1>AIプロジェクトにNotionを使ってみる</h1>
　Notionは汎用ツールなので、エンジニアリングだけではなくマーケティングや販売など本当にいろいろなユースケースで利用ができます。ここでは、AI Hackの読者向けに、「NotionをAIプロジェクトに使うとどんなメリットがあるか？」について、次の３つの視点から説明します。

<ol><li>タスクを「かんばん」で一元管理できる</li>
	<li>メンバーのアイデアを統合できる</li>
	<li>ノウハウをデータベース化できる</li>
</ol><p>  </p>

<h2>1. タスクを「かんばん」で一元管理できる</h2>

<p>　みなさんは、プロジェクトのタスク管理 / 課題管理はどのように実施していますか？WBSをつくって、Microsoft Projectで描いたガントチャートで予定／実績を管理し、課題一覧表をMicrosoft Excelで毎日更新しているというようなケースも多いのではないでしょうか？でも、AIプロジェクトでしょっちゅう起こるスコープの変更やプライオリティの変更に対して、ガントチャートや課題一覧表をいちいち書き直すのはとっても面倒ですよね。<br />
 <br />
　Notionでは、図3のような「タスクボード」を使ったタスク管理 / 課題管理をすることができます。<br />
 </p>

<p style="text-align:center;">図3　Notionのタスクボード<br /><img height="405" src="/p/z7kxbtee63far8rvjssf-f9dd3db7.jpg" style="width:920px;height:405px;" width="920" alt="z7kxbtee63far8rvjssf-f9dd3db7.jpg" /></p>

<p><br />
　まず、各タスクに割り当てたい進捗段階(未着手、対応中、完了、など)をボード上で定義します。各タスクには、担当者、プライオリティ、対応期限、属性（自由に設定できる！）などが設定できます。タスクの進捗段階が変わったら、ドラッグアンドドロップで他の列に移動します。<br />
 <br />
　AIプロジェクトでは、例えば「コアアルゴリズムの開発とUIの開発を平行して、かつ、複数のPoCの準備をする」などの複雑なタスク管理が必要になることも多いのではないでしょうか？Notionの「タスクボード」を使えば、このような複雑な状況でも柔軟に管理することができます。<br />
 </p>

<h2>2.メンバーのアイデアを統合できる</h2>

<p>　AIプロジェクトでは、やってみないとわからないことも多いので、メンバーと意見交換しながら試行錯誤しつつ進めるという場面が多いですよね。このような時、アイデアや、設計のメモ、議事録、ホワイトボードの写真といったものはどのように管理していますか？<br />
 <br />
　筆者の場合は、Boxでフォルダーを分けたり、slackでチャンネルを分けて格納していますが、どこに置いたか思い出せないことがしょっちゅうあります。<br />
 <br />
　Notionを使えば、図4のように、メンバーのつくったメモやドラフトを一覧でき、すぐに探すことができます。また、右上にあるShareボタンをクリックして、今やっている仕事をE-mailやSlack経由で共有することもできます。<br />
 </p>

<p style="text-align:center;">図4　Notionのメモと下書き（[4]から引用）<br /><img height="620" src="/p/dacc6ehj8fcodjr7wb7z-bf426194.jpg" style="width:920px;height:620px;" width="920" alt="dacc6ehj8fcodjr7wb7z-bf426194.jpg" /></p>

<h2><br />
3.ノウハウをデータベース化できる</h2>

<p>　AIプロジェクトでは、多様なスキルセットやバックグラウンドを持つメンバーがいるので、コンセプトや、設計・開発の規約を徹底するのに苦労したりします。筆者の場合は、BoxやSlackにドキュメントを管理したりするのですが、どこに置いたか忘れてしまったり、バージョンが更新されていなかったりすることがよくあります。<br />
 <br />
　Notionでは、「チームページとWiki」が役に立ちます。チームWikiは1つの親ページと複数の子ページから成ります。筆者が気に入っているのは、マークダウンです。Notionでは”/”（スラッシュコマンド）を押すと、様々な書式が選べ、リッチなドキュメントを作成できます。例えば、仕様書にプロトタイプを埋め込んだり、ウェブページのブックマークを貼ったり、要件のチェックリストを作ったりといったことができます。<br />
 </p>

<p style="text-align:center;">図5　チームページとWiki<br /><img height="796" src="/p/cib9payf238yj9hkc599-75a546a3.png" style="width:846px;height:796px;" width="846" alt="cib9payf238yj9hkc599-75a546a3.png" /></p>

<h1>もっと知りたい方は…</h1>

<p> 　2020年6月時点では、英語の情報が中心で、日本語での情報はあまり出回っていないようです。株式会社ノースサンドによる「Npedia -Notion情報局-」のサイト[4]が良くまとまっています。<br />
 </p>

<p style="text-align:center;">図6　Notionの日本語解説（[4]より抜粋）<br /><img height="480" src="/p/84rc75ebmffv9xszfaba-5bf5afc0.jpg" style="width:920px;height:480px;" width="920" alt="84rc75ebmffv9xszfaba-5bf5afc0.jpg" /><br />
 </p>

<h1>おわりに</h1>
　Notionの魅力について解説してきましたが、如何でしたでしょうか？AIプロジェクトでよく起きる課題に対して、Notionを使うことにより「かんばん」によるタスク一元管理でき、メンバーのアイデアを統合し、ノウハウのデータベース化に役立つことを確認いただけたと思います。<br />
 <br />
　気になる料金プランですが、朗報があります。これまでの無料プランでは、利用できるブロック（Notionのコンテンツの単位）が1,000までの制限がありましたが、5月19日にNotionから新たな料金プランが発表されています[5]。新しい料金プランでは、これまで1カ月5ドル（約540円）のプランで提供していたのと同等の機能を無料で利用できるようになったのです。<br />
 <br />
　興味のある方は、リモートワークでの使い方[6]や、Notionのチーム＆カルチャー[7]なども参考になります。「そういえば、あの情報どこに残したっけ？」がこの頃多い方には、Notionは「プロジェクトをすっきり管理する」選択肢のひとつになるかも知れませんね。 <br />
 
<h1>参考文献</h1>

<p>[1] Wikipedia. (<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/Notion_(%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2)">https://ja.wikipedia.org/wiki/Notion_(ソフトウェア)</a>)<br />
[2] Notion Homepage (<a href="https://www.notion.so/">https://www.notion.so/</a>)<br />
[3] 平野太一, Notion COOが日本のユーザーに初めて語った、「なぜNotionは生まれたのか」, Note, 2019/08/16. (<a href="https://note.com/yriica/n/n0ac5c5c26537">https://note.com/yriica/n/n0ac5c5c26537</a>)<br />
[4] Npedia -Notion情報局- (<a href="https://npedia.wiki/">https://npedia.wiki/</a>)<br />
[5] 生産性プラットフォーム運営のNotionが個人向け無料アカウントの機能制限を大幅に解除, Tech Crunch, 2020/05/23. (<a href="https://jp.techcrunch.com/2020/05/23/2020-05-19-notion-drops-usage-limit-on-its-its-personal-free-tier/">https://jp.techcrunch.com/2020/05/23/2020-05-19-notion-drops-usage-limit-on-its-its-personal-free-tier/</a>)<br />
[6] Using Notion for Remote Work, YouTube, 2020/04/08. (<a href="https://youtu.be/y9gWNeYoVxc">https://youtu.be/y9gWNeYoVxc</a>)<br />
[7] Keep Productive, Notion's Team & Culture | PART 1 | Notion, DocumentaryYouTube, 2019/05/15. (<a href="https://youtu.be/Coszro5wLxA">https://youtu.be/Coszro5wLxA</a>)<br />
 </p>

噂のNotionですっきり、AIプロジェクト

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